クローン病(指定難病96)

これからの難病医療はどうなる?ぼくらの医療費について考えたいこと。

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まずはこちらの記事を読む前に、NPO法人IBDネットワークからの緊急声明をご覧ください。

患者家族を切り捨てるようなことはあってはなりません
すべての難病患者の人権維持のために

2019年10月10日
NPO法人IBDネットワーク

10月7日の第2回難病・小児慢性特定疾病研究・医療ワーキンググループ会議において、潰瘍性大腸炎とパーキンソン病の2疾患を指定難病から外すとの意見が出されました。
根拠を示していない発言は、議事進行を誘導しているとしか思えません。私たちは遺憾の意を表します。
指定難病は原因不明で根治療法がないため、患者はいつ終わるともしれない治療を継続せざるをえません。結果として積み上がり増えていきます。
一方で、少数規模の希少難病罹患者で、指定難病に指定されていない疾患もあり、そういった方々に対する対応も急がれます。
すべての難病患者と家族は、原因が解明され根治療法が開発されること、そして基本的人権に示されたように健康で文化的に地域で尊厳を持って生きられることを願っています。
難病対策委員会・ワーキンググループの議論においては、患者数の大小で機械的に判断されることのないよう、現状と法制定時の経過を踏まえ、慎重にご検討されることを求めます。

以上

NPO法人IBDネットワークより)

緊急声明の理由をみんなで深く考えよう

一体何のことやら、という方に説明いたしますと、2019年10月7日に開催された「第2回難病・小児慢性特定疾病研究・医療ワーキンググループ会議」にて、潰瘍性大腸炎とパーキンソン病の2疾患を名指しで提示されたうえで「対象疾患の見直しを」という趣旨の発言があったとのことです。

POINT ● 難病の定義 難病法では、難病を
1.原因不明(発病の機構が明らかでない)
2.治療方法が確立していない
3.希少な疾病
4.その病気によって、長い間療養を必要とすることとなるもの
と定義し、幅広い疾病を対象として調 査研究・患者支援等を推進している。
さらに、同法では、難病のうち、患者数等の一定の要件を満たす疾病に対して、医療費助成を行っている。
1.患者数が日本国内で一定の人数(人口の0.1%)に達しないこと
2.客観的な診断基準(又はそれに準ずるもの)が確立していること
(参考:厚生労働省ホームぺージ内「難病対策」概要PDF

この会議に参加した一般社団法人日本難病・疾病団体協議会の森代表は、事務局ニュースの中でこう書き綴っています。

森代表は患者数の問題についても、医療が進歩したことで、以前と状態は変わっていないけれども患者数は増えているという疾患もある。これを数が増えたからといって事務的に対象外にするということはしないでいただきたいと訴えました。続けて、0.1%程度という基準に関しては、少子高齢化で人口が減っているため、母数自体が少なくなっているということを認識した上で考えていただきたいと述べました。
他の構成員からは、欧米では潰瘍性大腸炎(IBD)とパーキンソン病などの数の多い疾患は既にレアディジーズ(※)とはいえないと言われている一方で、医療も進歩し新しい難病も発見されている。全体の予算も考えながら、対象疾病も検討する必要があるのではないかとの意見も出されました。(編注※レアディジーズ…希少疾患のこと)
(中略)
森代表も患者の自己負担の高額かつ長期について、年間の医療費の総額で見ると軽症高額に該当する患者よりも医療費を支払っているものの、受診の間隔が長く、回数の規定を満たさないために医療費助成が受けられない患者がいる事例を述べ、回数だけでなく年間の医療費の総額も判断基準にいれてもらうよう要望しました。また、森代表は他制度との公平性についても意見を述べ、難病患者は医療費助成を受けられなくなると、自分が何の病気であるかを証明するものもなくなってしまい、就労の面でもなかなか職に就くことができない患者がたくさんいる。他の制度のように交通費の割引や税の控除等もなく、収入と支出のバランスから見ても公平ではないと思うので、その観点も考慮して公平性を考えていただきたいと強く訴えました。

今回対象疾病についての議論で、2つの疾患名が挙がったことについて、翌日、森代表が難病対策課を訪問し、説明を求めたところ、WGでは具体的に何かの疾病を外すというような協議をするところではないこと、また、そもそも、人数が増えたからといって、そのことで外すようなことはしない、と即答されたとの事です。次回WGにおいても、「前回に出された主な意見」の中に、2つの疾患名は出さないことについても確認し、説明を受けたとのことです。また、議論の中で、全体の医療費の配分論のような意見が出たことについては、難病法等によって特定医療費が義務的経費になったことで、特定医療費の予算の枠や制限があるようなものではないことも確認したとの事です。
JPA事務局ニュースより)

日々難病と向き合っている患者さんにとって、医療費の負担はいのちに関わる場合もあります。

これからの医療を、ひいては医療費を、しっかり考えてみませんか。

第3回難病・小児慢性特定疾病研究・医療WG会議に提出された資料を読んでみる

stevepb / Pixabay

第3回の難病・小児慢性特定疾病研究・医療ワーキンググループ会議は10月21日に開催されたようですが、その会議に提出された参考資料に「患者団体から寄せられた主な意見・要望」というリストがあります。全国各地の難病連絡団体協議会や難病・希少疾患の患者団体に回答を求めたもので、項目別にリスト形式でまとめられています。

・難病対策を見直すのであれば、難病患者の生活問題に対するニーズを調査してから行うべきではないのか?
・難病に付随した合併症を助成制度の対象にされる医療機関とそうでない医療機関があるので統一して欲しい。
・就労を含む患者の社会参加は医療が支えています。患者の社会生活の維持のためにも、指定難病の対象疾患を人数だけで外さないで下さい。
・難病であるがゆえに医療費以外にも生活全体にお金がかかるので、個々の生活実態を評価して、生活の保障を行う総合的な制度が必要である。
・臨床調査個人票の文書料を公費にしてほしいです。患者の申請の負担が軽くなります。たとえ認定されなくても、軽症でも、臨床調査個人票が継続して提出され、その人の病気のデータベースが更新され続け、調査および研究の精度があがることになると思います。不認定になるからと申請をやめる人が増えると、本来は研究の対象である人のデータが集められなくなります。
・軽症者登録証(仮称)を発行してください。軽症と判断され、医療費助成を受けられない患者に対しては指定難病であることの証明となるものが必要です。軽症者登録証には、福祉サービスや就労支援が受けられることや軽症高額、高額かつ長期の制度があることなどを明記してください。保健所や難病相談支援センターからの情報も届くようにしてください。
・臨床調査個人票の研究への必要性をはっきりさせてほしい。現状のように軽症者等を外した一部のデータしか必要ではないのならば、申請は数年に一度で良いのではないか。
・合同委員会に置いて「軽症者を含めた難病患者全体のデータを収集することが非常に重要である」とされているにも関わらず、現在のデータベースは「臨床個人票」及び「医療意見書」により構築され、医療費助成申請者のみデータ化されているので、指定難病発症時点でデータベース化すべきである(そうしなければ、指定難病患者の実態が把握されない)
・市町村の窓口で障害福祉サービスを受けたくても、難病は対象でないと言われた。その他の障害でなく難病とはっきり明記してほしい。
・病気に対する認知を広め、就職差別をなくすよう要望する。病気に対する正しい理解を広めることにより、就職における差別をうけないよう要望いたします。病気を公表しても就職に支障がなくなること。体調不良による病欠、受診のための短時間勤務など、職場の理解が得られることを望みます。

一部を抜粋しただけでもこれだけあります。また、地域ならではの意見もありました。

・北海道は鉄道事業者の危機的な経営状況により鉄路の廃止、バスへの転換がすすめられている。鉄路は地域で生活する者にとって欠かすことのできない生活路線である。ましてや定期通院を必要とする難病患者にとっては交通手段が絶たれることは命にかかわる問題である。地方自治体、鉄道事業者の問題とせずに国として補助をするなどの対策を講じていただきたい。

患者当事者や、その当事者を支える関係者の声はたくさんありますが、どこまでが医療関係者、ひいては厚生労働省に届いているのでしょうか。

IBD患者さんから寄せられた医療費や治療についてのコメント

Pexels / Pixabay

graine編集部では、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)に罹患している患者さんやご家族様に聞き取り調査を行い、医療費や服薬状況、今後について聞いてみました。

もし指定難病から外れたら…

僕は20代の学生患者です。潰瘍性大腸炎で、ステロイド抵抗性のため体と薬とのバランスを探し求める日々を過ごしています。服薬はエンタイビオ、リアルダ、プログラフ、ラックビーN、レクタブルなど、数種類を服薬・使用しています。
今は指定難病(特定疾患)医療費給付が適用されているので自己負担上限額で済んでいますが、10割負担の計算だとこの1年で約750万円、3割負担だとしても200万円。もし指定難病から外れてしまった場合、高額療養費制度を適応しても、自己負担額が4~5倍近くになりそうで卒倒しそうです…

医療費給付がなくなれば治療を縮小するしかない

僕は高校生の潰瘍性大腸炎患者です。今年は夏休みを活用してGCAP(顆粒球除去療法)を行いました。まだまだ体調は落ち着きませんが、学業と通院をぼちぼちこなしています。
直近1年の10割負担医療費は多い月で120万円、少ないときでも3万円と波はありますが、合計で約250万円。今後は他の生物学的製剤を使用するかもしれませんが、指定難病(特定疾患)医療費給付がなくなれば5-ASAによる治療が限界だね、と家族で話しています。

日々病気と向き合っているけれど

私は30代の潰瘍性大腸炎患者です。LCAPやエンタイビオなどを活用しながら、ステロイド剤からの脱却に向けて日々治療を受けています。
ここ12ヶ月の医療費を10割負担で集計してみたら460万円になりました。1ヶ月あたり38万円、3割負担だとしても11万円です。
薬と体と相談しながら一進一退の日々で、まだまだステロイドを脱却できそうにありません。これからどうしようかな…

社会人になったらどうなるんだろう

リアルダやイムラン、整腸剤などを服用しながら生活している大学生です。3割負担の月平均で1万3000円という負担額だけど、GCAP治療を受けていた時は10割負担で150万円を超えました。
これから社会人になって生活していくうえでさまざまなことが起きると思っていますが、もし入院になった時に指定難病から外されていたら、一体どうなるんだろうと途方に暮れています。

特定疾患以外の持病や制限もある

私は20代の潰瘍性大腸炎患者です。発症から4年経っていて、計算したところ4年分で700万円の医療費がかかっていました(10割負担換算)。アレルギー体質でもあるので服薬も慎重に検討しており、ジェネリック薬品が使えません。潰瘍性大腸炎だけでなく、眼科や婦人科など他科の通院もあるので、医療費はここからさらに増えます。

そのほかにも、「エンタイビオと数種類の服薬で(10割負担換算で)月40万円」(20代男性)、「ペンタサ・ミヤBM・エレンタールで、月の医療費は10割負担約7~8万円」(20代男性)、「レミケードやペンタサを服用して10割負担月40万円」(40代男性)といった声を頂きました。

聞き取りを行った患者さん全てが就労しているわけではありませんし、全ての方が納得のいく治療を受けられているわけではありません。日々体の変化と向き合いながら治療を受けているなか、事務的に「患者数が多いから」と指定難病から外されてしまうことがあってはならないとgraine編集部は考えています。

いま ぼくらができること

私たちがいま指定難病(特定疾患)医療費給付が適用されて負担が少なく治療を続けられているのは、難病や指定難病に充てられる予算があるからです。

この予算は無限に出てくるわけではなく、税金から予算が割り当てられています。

このことについては炎症性腸疾患の当事者であり医療従事者でもあるそふぁーさんがnote記事内にて触れています。

 私は今までに何度も UC における注腸製剤の重要性を訴えてきました。というのも、経口 5-ASA 製剤に比べて格段に高い濃度で患部に届く注腸製剤は本来非常に良い治療効果を発揮するはずだからです。
しかし、報告では患者の約4割未満しか適正に使用していないことが分かっており、そこでコントロール出来ない方は本来注腸製剤でコントロール出来た筈の人でもバイオなどの治療へ移ることは想像に難くありません。
さらに言うと、残薬はないでしょうか。注腸製剤、内服、自己注射など残っているにもかかわらず処方され、破棄される過剰な医療は国庫を圧迫しているという現実を医師会、薬剤師会は知っていますし報告もしています。
(中略)
注腸が嫌、エレンタールが飲めない、受診しに行くのが面倒くさい、民間療法をやっていたら悪化した、薬を飲むのが面倒くさい、検査が嫌、腸管洗浄液を飲みたくない、待ち時間が長い etc…….
ネットを始めて2年、多くの不満を目にしてきました。
その大半が、納税者からの貴重な税金で賄われているにも拘らず、病気という不幸にすべての責任を背負わせて、国の制度を当たり前と感じている現状は無いでしょうか。
注腸が不耐で出来ない(5-ASA不耐)、狭窄が激しくエレンタールすら摂取不可能、災害ややむを得ない事情で受診出来ない、近くに専門医も消化器内科もない、腸管洗浄液で嘔吐したり体調が激しく悪化した等の仕方のない方々もいます。しかし、それだけではないのが現実でしょう。
この事態を放置し続けたのは誰ですか。
他でもない、我々患者達自身です。専門医らが相当な危機感を感じ、自分たちだけではマンパワーが足りないとコメディカルにも専門性を高めてもらい、患者にも知識を高めてもらい、安い治療法(ATM療法など)を模索する中で危機感が無かったのは寧ろ患者側です。

指定難病があるから、補助してもらえるから、という安心感が慢心を生まなかったと誰が言えるでしょう。
すでに事態は差し迫りつつあります。私が予測するよりも早く、危機的な状況が迫ってきたのは自分自身にも甘さがあったなと痛感せざるを得ません。
何をすべきか。若い先生方にも先見性を持った人は居ます。医師でなくとも非常に柔軟な発想力を持った医療従事者が居ることも私は知っています。権謀術策に長けた世代は現実的に力があります。と同時に若い人たちには軽いフットワークがあります。協力すべきは、その両者です。
そして、一人一人が自らを正しく律し、適正な治療を受け、早期発見、早期治療、早期寛解、寛解維持を目指すことこそ制度存続の絶対的な肝です。
弱音を吐くなとは言いません。
ですが、座して待っていても助けてはもらえない事も自覚する必要があると私は思います。

(note「緊急・IBDが指定難病を外れる?」より)

ちょっと堅い表現をされているので分かりにくい部分もあるかもしれませんが、

  • 薬の管理を行い、残っているものがあれば次回通院時に数を調整してもらう
  • 規則正しい生活などで体調管理を試みる
  • 自分の疾患について勉強をする
  • どんな薬を飲んでいて、どんな効果があって、どんな仕組みで作用するのか調べてみる
  • 国内だけでなく海外の情報にも目を向けてみる
  • 患者のオンラインコミュニティや患者会に参加してみる

など、今日からでも実践できることはたくさんあります。
実際に患者さんの中には、よく分からないままに服用を続けていたり、聞きたいことをしっかり質問できないまま診察が終わってしまう患者さんも少なくありません。

そのままで本当に良いのでしょうか?

graineでは、今後指定難病全種類の情報掲示と、それに関連したリンク構築システムの作成を検討しています。

自分の病気について、もっと知識を深めて考えてみませんか。

あなたも体験談を掲載してみませんか?

わたしの体験が、きっと誰かの役に立つ。

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あなたも体験談をお寄せいただけませんか?ありきたりなものだ、と思っていても、誰かにとっては大切な種となるかもしれません。

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