普段さまざまなモノに触れることが多い手のひらや、地面や靴下と接している時間が長い足の裏。何気ないこの2つの部位に「過角化」という現象が起きる病気があるのをご存知でしょうか?
掌蹠(しょうせき)角化症(かくかしょう)と呼ばれる皮膚疾患は、その特殊さゆえに診断がつきにくく、また根本的な治療法も見つかっていない希少難病です。症状が進むにつれて角質が厚くなっていき、手足の裏がゴツゴツしたり、皮膚がはがれてポロポロと浮いたり、はがれた皮膚が原因で手足がにおってしまうこともあります。
今回は、そんな疾患を抱えながらも学生生活を謳歌する女性にお話を伺いました。
うめさん
先天性掌蹠角化症と診断された10代女性。ジャニーズアイドルが好きで、私生活も学業も満喫中。
―――こんにちは、graine編集部です!
こんにちは!よろしくお願いします。
「大きくなったら治る」と言われたけれど…ずっと悩んできたボロボロの手のひら

―――掌蹠角化症という病名は初めて聞きました。うめさんが診断されたきっかけを教えて下さい。
実は、掌蹠角化症と診断されたのはつい最近のことなんです。小さい頃からずっと皮膚症状に悩んでいて、砂遊びのあとに皮膚がボロボロにむけて病院に行き「砂アレルギー」と診断されたのが最初の診断でした。砂で刺激を受けて肌が過敏に反応し皮膚がむけてしまったのだろう、という感じで。
物心ついた頃にはいつも手のひらがボロボロで手汗も出るようになり、手のひらが細かくむけて見た目もあまりよくないし…でも、幼い頃はみんなも同じ手だと思っていたんです。小学校高学年くらいになると、ボロボロの手のひらが当たり前になっていました。
―――小さい頃からずっと症状が出ているとそれが当たり前になってしまいますよね。
みんなと私は同じ手じゃないんだ、って気付いてからは、悲しい気持ちになることも多かったです。中学生になってからは見た目が気になるので、自分で何度か近所の皮膚科に行っていたんですが、病名が分からず塗り薬を渡されてそれを塗り続けていました。ですが効果は全くありませんでしたね。
中学ではバスケットボール部に所属していたのですが、人の顔の前に手を持っていく動作の練習があるんです。手のひらを見せるのが恥ずかしい、嫌だという気持ちがあったのでプレーに消極的になってしまい、顧問に怒られることもしばしば。
親からは「大きくなったら治るから」と言われ、真剣に取り合ってもらえませんでした。ボロボロの手が恥ずかしいし、どうして自分の手のひらはよくならないんだろう、どうして私だけこんな手なんだろうって自分のやること全てに自信が持てなくなっていました。
そんな私を見兼ねた叔母が必死に病院を探してくれて、高校生になる少し前にようやく「掌蹠(しょうせき)角化症(かくかしょう)」と診断が下りました。掌蹠角化症は先天性のものと後天性のものがあるのですが、私は幼い頃からずっと症状が続いていることから先天性掌蹠角化症という診断になっています。